漢エヴァンス 涙のマイヨジョーヌ ~2011 ツール・ド・フランス~ [Cycle Road Race レースの話]
えー,いよいよ2011ツール・ド・フランスも終わりに近づいてまいりました。落車も多くどうなることかと思われました今年のツールですが,終わってみれば(まだ終わってないが)例年以上の盛り上がり。最終的に今年のツールを制したのは漢臭さナンバーワンのこの人,カデル・エヴァンス。 誰もがツアー一のタフネスと認めるものの,アルカンシェルの呪いを一手に引き受けるほどのツキの無さ。万年二位の汚名を晴らして今年のマイヨジョーヌは20日目の個人タイムトライアルで2位のタイムを叩き出したエヴァンスの手に渡りました。まだ明日の最終日が残っていますが,慣例的に最終日ではマイヨジョーヌ争いをしないパレードステージになりますので,エヴァンス優勝とお伝えしていいと思います。
前日の超級山岳,ラルプ・デュエズでトップのアンディ・シュレックから遅れることおよそ1分。アンディとエヴァンスのTTの力量ではエヴァンスに分がありますが,さてどうでしょうということろで始まった個人TT。結果としてはエバンスは一位のトニー・マルティンに迫るタイムをたたき出し,大差でアンディを逆転します。あわや個人TTを制してしまうのではないかという勢いでした。連日シュレック兄弟やバッソ,コンタドールなどクライマー系オールラウンダーの猛者たちと超級山岳で過酷なトップ争いを展開してきたのにタイムトライアル・スペシャリストのトニー・マルティンのタイムに肉薄するとは全く驚きでした。これではシュレック兄弟も白旗を上げるしかないでしょう。
さて,エヴァンスといえば過去にも漢泣きのシーンが。これは昨年の同じくツール・ド・フランス第9ステージ。マイヨジョーヌを着たもののトップからかなり遅れてのゴール後,突然アシストの選手と抱き合って泣きだしたエヴァンス。このときなんだかよくわかりませんでしたが,のちに手を骨折し,激しい痛みがあったものの,マイヨジョーヌを着たままリアイアはできないとかなりの無理をして出走したのでありました。
さて,エヴァンス以外にも多くの話題が今年のツールにはありました。
ラルプ・デュエズまでマイヨジョーヌを死守した地元トマ・ボクレール,連日必死の形相でトップ集団に喰らいついてゴールを重ねるトマの姿はとても感動的で,もはやアホの子の面影はありませんでした。さらに,トマは,ラルプ・デュエズでマイヨジョーヌが守り切れないことを悟ると,若きアシストのピエール・ロランをその任から解き,勝負に行かせたのでした。そしてピエールは若干24歳にしてフランス人としてはベルナール・イノー以来のラルプ・デュエズを制したのでした。今年はチーム存続さえ危ぶまれたヨーロッパカー。ここまで大活躍をするとは誰か想像したでしょうか。トマもチームのためにスポンサーが決まるぎりぎりまで他チームとの契約を待ったと聞きます。
シュレック兄弟は自分たちのためにチームまで作ってツールに臨みました。最大のライバルコンタドールがいま一つの調子でしたし,同じく優勝候補のバッソも春先の落石事故の影響か,ジロを飛ばしてまで臨んだわりには調子が上がりません。ウィギンスなど他の優勝候補でも,すでにリタイヤしている選手も多く,今年の大本命と思われ,さらには19日目のラルプ・デュエズで大逃げを成功させたまではよかったのですが,今年のエヴァンスはさらにその上を行っていましたね。
おめでとうエヴァンス。もう,アルカンシェルの呪いは解けたでしょう。
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